雌ネジのねじ切り加工!殆どの労力はねじ切り前の穴の切削仕上げ/金属ヘラ絞り加工・各種金属板金加工は埼玉の佐藤製作所|東京・神奈川・千葉

HOME > 制作事例 > 雌ネジのねじ切り加工!殆どの労力はねじ切り前の穴の切削仕上げ

雌ネジのねじ切り加工!殆どの労力はねじ切り前の穴の切削仕上げ

名称 雌ネジのねじ切り加工!殆どの労力はねじ切り前の穴の切削仕上げ

「佐藤さん旋盤できるの??」

「絞り職人は旋盤必修だから・・・旋盤屋さんのように上手くないけど・・・・・・」(テレビアニメーション TARITARI 第2話より)

 

汎用旋盤はヘッドにワークを固定する冶具を取り付けて仕事をする機械なので何もスクロールチャックだけが固定のための冶具ではないそうです。

へら絞り加工では一般的によく利用するジグ(冶具)で「ねじヤトイ」といいます。これも、素材を(45C)を3つ程、用意しておいて、何かのついでに

雌ネジを切ったところで、何か月も放置していたのですが、使わない鉄塊がいつまでも場所をとったり、急激に機械を増やしたため慢性的な工具不足に陥った為に「雄ねじ切り」手前まで加工しました(次の更新で、さらに加工された写真をアップさせていただきますのでこの画像だけで何の説明か判らなくても気になさらないでください)

「井の中の蛙大海を知らず」ということわざがあるように、20年ちょっとの間ずっと、この小さな町工場だけに所属しているので、外界のレベルがどこまで行っているのか判らない・・・ということで単なる憶測になってしまうのですが

小さな町工場限定の「へら絞り屋さん」の「絞り職人」や、「削り専用の作業者」の旋盤加工はこの「ねじヤトイ」が作れれば、もう旋盤仕事の半分はできてしまったことになる浅いものなのです。(もう半分は汎用旋盤で正確なアールや放物線加工。これで完璧!!さらに欲を言えばへら絞り業界ではテールストックの改造をするので「台形ねじ切り」が普通にできるようになること)

この加工は仕事に従事していれば教えてくれる人がなくても「ヤトイ作り」は自力で到達できてしまう技術なのですが、「ねじヤトイ」の雌側のねじ切りは同じ径の「金型の雌ねじ」より、面倒なものになります

「ねじヤトイ」や「金型」などに切る大きな雌ねじ(60φ~90φ位)はねじヤトイは穴の終わりをまっすぐに加工しなければならないところ、金型の穴のあたりはドリルの止まりの形状のままで、その後は何も気にしなくてよいからです

この後、雄ねじを加工すれば完成なのです。で・・・ここまで加工したところで力尽きてまた、半年くらい放置。なんてことはザラにあります。仕事としての依頼なら、すぐにできる加工も自分で使用する道具作りはなかなか進まない傾向にあります。並行して進めている機械製作、改造。ジグ作り等々・・・たくさん抱えているので・・・

ちなみに、精度が重要な端面以外、重切削用の荒削りの切削バイトで仕上げて完成させてあるのですが、旋盤の回転を上げれば美しい仕上がりになります。

ちょっと前まではカタログデータ上の最高速度が650回転。さらに本来「正面旋盤」で加工する重量物を無理やり回していたため傷んで450回転くらいしか出ない旋盤(敷地の都合上、スペースがなくて、大は小を兼ねる)を使用していたので(切削バイトのブレーカー意味なし)

ねじヤトイの「雄ねじ」は24φ位の細いねじ切りより60φ位の太くてピッチの荒いねじヤトイの方が楽でした。

 

低速回転での切削はスローアウェイのようなブレーカーは意味をなさいので特殊な研ぎ方で超硬バイトを研ぎます。キリコはかさばるので「バッカン」はすぐ満杯になるし、銅の切削のように

刃が品物に食い込みす。たとえば0.5ミリ送り込んでも0.2~0.3ミリは余計に径が細くなるので仕上げはH交差に仕上げるような感で仕上げなければなりませんでした。

上からの技術の伝承など、まったくなかったので、歯が食い込むという発想もなく仕上げ加工のメモリが(普通の加工でいう)100分の1~2の交差に入れるような神経を使って「仕上がりは±0.05位のあまいモノ」を仕上げていました

旋盤のメモリとはそのくらいの信用度だと思っていたのです。当時はH交差についての知識もなく・・・とにかく大変でした

追記:3つのヤトイの上に乗ってる黄色というか鈍い金色の鋼材は砲金です。これからテールストックの内部部品になります(次の記事に加工事例が続きます)

師匠:「オマエ、何で大切な「ヤトイ様」の上に重い金属素材なんて置いてるの??」

弟子:「撮影用にどうしてもあの場所が良かったんです。そぉ~~っと、慎重に乗せたからヤトイの命「上部の端面」に傷などつきません」

師匠:「でも仕事に絶対ということはないし、そもそも、そんなところに物を置こうという根性じゃぁ今後、独り立ちしても、大切な場面に遭遇してもそういう根性は消えてないよ?」

・・・などなど、「職人モノ」のTVドラマなら「知ってた!」的なお約束展開に繋がる・・・(コンボ)・・・繋がりますが、画像のヤトイは、これから切る「ねじ部」寸法も、まだ荒取りで1ミリくらい太いし、砲金が乗っかっている端面部もまだ粗削りなので、全然問題ないのです。

この画像を初見でご覧になった方の中には「まぁ!」とか思った人もいるかと思いますが(こんな端面に金属塊なんて置いて・・等)これから仕上げるのですだから、「も、問題ないんだからねっ!」・・・ということです。

 

< へら絞り加工で使用する機械「絞り旋盤」の製作  |  一覧へ戻る  |  台形ねじの新造、交換 外海のことは知りませんが、この業界でたぶんやってるテールストック内部の改造編  >

このページのトップへ