この業界の一般的「ねじヤトイ」完成編/金属ヘラ絞り加工・各種金属板金加工は埼玉の佐藤製作所|東京・神奈川・千葉

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この業界の一般的「ねじヤトイ」完成編

名称 この業界の一般的「ねじヤトイ」完成編

記事の内容はタイムリーではなくストックなので、突然別の進行内容になったりします。ご了承ください(リアルタイムでは昨日、旋盤のテールストックに台形ねじを組み込んで完成したところです)

 

記憶が定かでないのでアレですが、テールストックをバラした状態の池貝で仕上げました。つい先日完成した4つ・・

池貝A-25は非常にねじ切りの操作性に優れていて、オスねじとか500Φ以下の金型の内径ねじ切りはすべてこの機械で仕上げています

ねじ切りに関しては、当社の旋盤内で「マザーマシン中のマザーマシン」です

池貝A25の泣き所は小ハンドルと大ハンドルの「ゼロ点設定」が容易ではないということ

特に中ハンドルには、カウンターが装備されていて、クラシカルな「デジタルスケール」のような余計で豪華なメーターが装備されていて、今刃物がどこにいるか数値が追えるようになっています

これ、「からくり式」でメモリをゼロに合わせようとすると干渉してくれて(内部に歯車がかんでいる)普通、ゼロ点設定すると、当然刃先はメモリがゼロのところが基準にできるのですが池貝A25の場合0.3ミリくらいズレます(汗 つまりゼロに合わせても0.3か-0.3に刃の位置がずれちゃうのです(汗

クランプして刃物台を固定してからゼロ点設定しても0.05~0.1は確実にズレます。私は粗削りはともかく、仕上げ手前は、常にゼロを基準にちょくちょくゼロにリセットして仕事をするのでこの機能はいただけません

で、画像の4つのヤトイ、オスのねじ切りはA25で切りましたが・・・・よくご覧になってください。最前列の1個だけが完成しています

他の3つと何が違うかと申しますと、角にアールがついています(4アール)旋盤工は回転中に軍手でワークを絶対に触っちゃいけないと教育されると思いますがヘラ工は触るんです

だから、アールというわけではありませんが、アールのほうがカッコイイじゃないか・・・(実際美しい)つまり、オシャレです「C2」とか「C3」の、バイトを45度で斜めに送り込んだだけでも全く問題ありません

ここで、言いたいことはこれが、仮に「売り物」「商品」だとすると、この手のジグに飾りは付きません。必要な機能だけ装備されます。それに対して「ヘラ工」が「まかない」的に制作する。つまり、自分が使用する用に作ると、このような無意味なことをする傾向にある(オシャレ)ということです

 

もう一つの加工はねじの根元が1.5アールついています。本当はこの手の「おねじの細いタイプのねじヤトイ」のおねじの根元は3アールくらいつけなくてはダメです!!(おねじがM60とかM50なら3アールも要りません)

アールがないと弱いのです。アールがなく直角だと使用していてクラックが入ります(いやいや、焼きは入ってないのでクラックは入りません)でも確実に曲がります

アールが小さくても、ただの飾り・・・無意味です(最低でも3アール必要になるのです)

先日TVでタイムリーに「アキンド星のリトル・ペソ 第二話」というアニメが放送されました。

劇中で「壊れるから売れる!壊れるから買うんだろう! 壊れないものなんか作ったら破産だよ!!」という(タイムリーな)内容だったのですが

壊れなくても破産はしない、むしろ壊れないほうが助かるのでアールは強くつけたいところなのですが・・・・いや、つけたいところなのですが・・・

(教訓としては、先日の台形ねじの砲金部品のように、「これだけもってくれれば問題ないだろう」という「寿命設計」は理にかなっていますが、「ソニーータイマー」のような設計を組んではいけない)

例としては80年代のウォークマンで購入した時に付属している事実上オマケという名のイヤホンのプラ製シャーシの絶妙な強度バランス、別売りの単体で売っている同社のイヤホンのプラ製シャーシとの強度設計の差別化など。

 

当社にあるヤトイは私が入る前からあったモノとそれを参考に私がコピーしたものしかなかったので、すべて最小アールしかついていません(当時は角アールの重要性を知らなかったので)

そしてねじヤトイには座金を入れて使用するのですが「おねじの最小アール」に対応した「最小アールがぶつからない座金」になっています。この座金が何十枚もあるワケです

当然3アールのヤトイを作ったら、座金にアールが当たってしまいますので、3アールのついたヤトイに対応した3アールがぶつからない(それ用に大きく逃がしてある)座金を作らなければなりません

で、座金やヤトイが2種類あると(アールが大きいのと意図的に小さく作られたもの)間違って3アールのヤトイに従来の座金を組み合わせるとアールに座金がぶつかる。(普通そんなことわかるのですが)

管理が面倒・・・(ではなく、その理屈を理解できない、使い分けられない能力の工員も社内に存在するので)ということで、「従来型座金」でも使用できる最大アールが1.5アールなので1.5アールで仕上げてあります

しかし、今、現時点でこの記事を書いていて、自分がいかに無意味なことをしていたか考えさせられることに実際なりました。次からはおねじのアールは4アールくらいにして干渉する座金は「ざっくり逃がす」

これなら、間違えて従来座金をさしてしまうということもないでしょう・・・(見ただけで判りますから)とにかく角のアールは大事です。あと、大量にある従来座金。焼き入れしてあるので面倒ですが、対応できる逃がしを、いきなり全部は無理なので、少しずつ地道につけていこうと思います

 

あと、この記事を書いていて気が付きましたが、バイトの高さの位置があってなくて中心にヘソが出てますがセンタードリルで削り落としていないので、やはり池貝旋盤のテールストックが使用不可の状態のとき制作したようです

 

またまた長く脱線しましたが、本題に戻ります

手前の一個は池貝のメモリをゼロ接点ではなくて、ズレたゼロ点を基本にメモリに鉛筆で線を入れて足し算しながら(0.3ずれているとすると0.5は0.5+0.3=0.8 1.2は1.2+0.3=1.5と数値を追う)完成させましたが、

後ろの3つは「ゼロ点設定のできない旋盤での加工は嫌だ!!」ということで「ねじ根本(ねもと)のアール」(1.5R)とオシャレアール(4R)は別の旋盤でやることにしました(しかし、今現在リアルタイムで、画像の段階で力尽きて製作は進んでいません)

4つのうち2つは「インチ8山」残り2つは「インチ一分(1.1インチ) 7山」です。インチ一分のほうが約3.175ミリ太いので(金型との組み合わせ時によく間違える)一目で分かるように外装をさらにデコります。

ある意味オシャレなので楽しいといえば楽しい作業・・・時間があれば・・。

 

ここからは使用する人間の精神論になるのですが

一人、道具や機械の扱いがめちゃくちゃな人間がいるので(愛機に祈る親心なんて一切ない お前なんて機械様に触る資格などない!!と叫びたくなるような人。このヤトイをコンクリートの床や土間に直置きするなどザラ ヤトイの命、端面についた傷は伝染するのです。傷が、相方に傷をつけ、さらにその傷が他の健全なヤトイの端面にも傷を付け、すべての機械とヤトイがイカれます。金型の芯は当然すべて、でなくなりますがそれどころの問題ではありません。深刻なのです)

先日この4つのヤトイを見せて「見てみろ、このピッカピカの新品のヤトイを!(で、前からあるボコボコになったヤトイと並べて)この新品を数日で、こんな風に(ボロい方)してしまうんだ!! もっと大切に扱うように!」

と、諭しました。でも、本当はヤトイができたら4つのうち一つを金床の上にセットして私がキチガイのように大ハンマーでガンガンたたいて破壊する。次にもう一つを、「機械に触る資格のない人間」に「オマエもやれ!!」と半ば強引に破壊させなければいけません

しかし悲しいことに、癖のついてしまった人間には、何をしても無意味。心に届きません。

たとえ、何を言っても諭された直後は目の色が変わるのですが、時間が経過するとすぐ元に戻ってしまうのです

先日は、「コンクリートの床にヤトイを直に置くな!!底辺の端面(精度の命)がボコボコ、傷だらけになってしまう!!」と叫んだら後日コンクリートの床の上に新聞紙一枚敷いて重い金型のついたヤトイを置いていました。当然精度は落ちます。いや、落ちるとかそういう問題ではありません。論外。もう治りませんが可能な限り突起してしまった部分を除去してだましだまし使用します(湧き上がる怒りと同じくらい、とても悲しい気持ちになりました)

井の中の蛙なのでこの業界で、何人も新人が入ってくるような会社の社員教育、精神教育のことは想像できないのですが、(私が持っている小さな引き出しだけで考えるに)単なる「丸切り要員」(← 一番簡単な雑用 忍耐と精神を鍛えることができる 心が折れなければ・・さらに何の指示も出さず手が空いたら自分で何をするか考えさせる、指示は一切出さない。当然素人は自分で考えて、溶接や旋盤を使ってのジグ作りなどの仕事はできない。そもそも先が読めないので考える力もクソもない。手が空いて部署を飛び越えて将官に次の指示を仰いでも的確な指示ができないので、何の解決にもならない一時しのぎの指示しか出さない。プラプラしていれば別の将官・・・特に、学校で社会性、人間関係の構築、「学校とは勉強するところでもあり社会の縮図であるということ」を学ぶ飛行時間が現代の一般人より短い人間(まだ日本が貧しかったころの事例)でなおかついきなり幹部候補生から始める、名目上は二等兵でもその実、少尉補・・・いやいや、大佐補から始める。下士官が一般兵卒を扱うような洗礼を、社会でも学校の飛行時間内でも受けていない。人間偉くなれば、周りにイエスマンが増えて悪臭をかぎ分けるのはだんだん難しくなってくるものですが、将来そんなレベルではなくなる)に怒られるので仕事、技術面、スキルではなく潤滑油的な見地での応用力がつく。さらにそこの部署(丸切り)の長の根性がイカれていればさらに成長できる)にするのではなく、空いている時間を使い研修も兼ねて、厚み16ミリくらいでハガキ位のサイズになっている(SSか45Cの)黒皮のフラットバーを与えて、やすり掛けで正六面体を作らせてみる。(追いつめると、なんとか自分が一人前になれるように上を導く方向に努力しようと会社にしがみつこうとする人間と「あ、これは面白い!」と捨て鉢になる人間に分かれるという話を聞いたことがあります)

あるいははがきサイズ面の裏と表の2面だけピッタリ平面を出させる。すべて手作業。定盤の上で品物を滑らせてマイクロメータで平面度と裏面との並行度の調整をさせる・・・(とりあえず平面度&平行度 100分の1以内)

これは、勝手にした私の想像であって、実際はどんな手法で最強職人軍団を構成しているのかは知りませんが、この手の訓練をさせれば、定盤の上に鉄塊を「ガンッ」と置いたりする人間にはならない(土足で上るなど論外)摺動面は常に清掃&給油。(朝一番に給油ではないのです。使わない機械は使う直前に給油。摺動面上に細かなゴミ、汚れが乗っかったら、一日に何度でも、その都度清掃&給油!)ノギスは落とさない。それでも落としてしまったら真っ青になる気持ち・・・・等々が自然にはぐくまれるのではないかと・・・

トウが立ってしうと手遅れで「一緒にやるから1面だけでも出してくれ!!」あるいは「さわりだけでもやってくれ!!」とはがきの半分の面積の黒皮のフラットバーを渡しても、絶対やりませんから・・・

「ブーン ボチャンじゃこっちがたまらん!!」という言葉がありますが、まさにソレ・・・せっかく新造したこの4つのヤトイの運命・・・容易に想像できます

タイマーなど仕込まなくてもどんどん壊れるので、どんどん作れて楽しいです(大嘘

やるせない。

 

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